文具にサステナブル素材を。
環境にやさしい選択

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環境にやさしい選択

環境問題への意識が高まり、「サステナビリティ」や「SDGs」「脱炭素」などの言葉をよく耳にするようになった今。環境にやさしい商品はめぐりめぐって人にもやさしい商品だと多くの人が気づき始めました。

「どうすれば環境にやさしい製品を提案できるのだろう」

セキセイ興産では、そんなことを考えながら、日々新しい素材を使った製品作りを模索しています。

再生紙を利用し長く使える「のびーるファイル」

のびーるファイル」は、古紙70%以上の再生紙を表紙に使用しています。さらに、背表紙の幅が自在に変えられるので、書類が増えたり減ったりしても、ファイルを長く使い続けることができます。

一般的には、金属の綴じ具もありますが、こちらは金属を使用せず、紙が50%含まれている素材を利用していて、完全燃焼が可能な樹脂性の留め具で止めています。

綴じ具は裏表紙の留め具を押すだけで簡単にとり外すことができて、分別がしやすくなっています。また、完全焼却されやすい素材を使用することで、書類と一緒に焼却された際のことも配慮しています。

製品開発当時、リサイクル法の制定などから徐々に環境問題を意識する人が増えていた時代。社会に再生紙の利用も広がるなかで、お客様からファイルに取り入れられないかという要望があり「ぜひ、やりましょう!」と製品化に至りました。

他に再生紙を活用しているものとしては、アルバム表紙の骨組みを作るために使う「芯ボール」があります。通常は見えない部分ですが、古紙90%以上の厚紙を使用しています。

棄てられるはずのサトウキビの搾りかすを利用したバガスペーパー

新しい素材として注目されているサトウキビを圧縮したあとの搾りかす”バガス”をパルプにした「バガスペーパー」も扱っています。サトウキビは世界中で年間約12億トンも生産されていますが、そのうち、約1億トンがバガスになってしまいます。

本来は廃棄するものを利用することでごみの削減に、木材を使用しないため森林の保護にもつながるというとってもエコな素材。

やさしい風合いですが、印刷にも適していて、鮮やかな色にも対応できます。セキセイ興産では、エシカル商品の開発に向けてこのような環境に配慮した様々な素材を使って試作に取り組んでいます。

CO2排出30%を削減可能なKTボードを使った製品作り

KTボードを使った製品作りでは、古紙配合率70%の厚みのある用紙を使用しています。この用紙は、環境に配慮した製造工程で生産されています。紙の製造過程において、不可欠な燃料システムには天然ガスを採用しており、これによりCO2排出量を30%、NOx排出量を50%削減することが可能です。さらに、SOxに関しては排出量ゼロを達成しており、環境への影響を最小限に抑えています。

KTボードは、その高い環境性能と品質から、幅広い製品に使用されています。弊社では、写真アルバムや書類ファイル、蓋付きボックス、カード表紙など、多種多様な商品に適用可能です。

当たり前に環境に良い選択ができる世界に向けて

サステナブル商品の開発は、世界的なムーブメントです。
セキセイ興産では、紙製の表紙を使ったアルバムやバインダー、ファイル、手帳など、多様なステーショナリーを取り扱っていますが、その中でも、こだわりのある紙製の素材を使っています。例えば、FSC認証紙 (Forest Stewardship Council)や、ナッツ・牧草・麻・綿などの植物性由来の紙、コーヒーかすを使用した再生紙、Acid-free paper(写真や作品の劣化を防ぐ紙)、そして無漂白の Chlorine Free paperなど、紙の素材を考え、サステナブルな商品作りを実現しています。
また、プラスチックの代替となる丈夫で厚みのある紙を使用した商品もご提案可能ですし、BPAフリーや生分解性プラスチックを使用した製品の開発もお手伝いしています。
そのほか、紙やプラスチック以外にも、お客様の気になる素材があれば、アジアでもヨーロッパでも、世界中から取り寄せて試作品や製品づくりに活かしています。
例えば中国では、通常の紙では土に還るのに50年ほどかかるところ、5年程度の短い期間で分解されるという、麻や綿などの自然素材を利用した紙があります。
ただ環境に良いだけではなく、ざらっとした画用紙のような風合いながら、鮮やかな着色も可能です。レーヨン(再⽣綿と⽊材パルプから採取した植物原料に加⼯を施してつくられた天然原料由来の再⽣繊維)を使用した紙は防⾍効果もあります。このような付加価値があることで、利用の幅が広がるといえます。

生活をするうえで、文具はとても身近なものです。環境に良いサステナブル素材を取り入れることは、意味があると考える人が日本でも世界でも、増えているように思います。社会のSDGsに対する動きや企業のエコ活動は広がっていますが、無理をしなくても、気づいたら「使っているものが環境に配慮したものだった。」そんなエコフレンドリーな暮らしが当たり前になる日に向けて、文具メーカーの役割を果たしながらできることを続けていけたらと思っています。

Writing: Mihoko Matsui
Photo: Kim Marcelo